テレコンバーターとは?1.4倍・2倍の違いと使う前の確認ポイント

テレコンバーターの1.4倍と2倍の違いを解説する記事の表紙

テレコンバーターの1.4倍と2倍の違いを解説する記事の表紙

テレコンバーターは、対応するレンズとカメラの間に取り付けて、焦点距離を伸ばす光学アクセサリーです。 1.4倍なら200mmが280mm、2倍なら400mmになります。その分、開放F値も大きくなり、1.4倍で約1段、2倍で2段暗くなります。

遠くの被写体を大きく写すのに役立ちますが、同じメーカー・同じマウントのレンズなら何でも使えるわけではありません。倍率を選ぶ前に、レンズとカメラの型番、装着後の明るさ、使える撮影機能を確認します。

この記事では、光学式のテレコンバーターの原理と計算例を扱います。特定製品の実写比較や、画質の優劣を測定した記事ではありません。掲載画像は生成AIによる説明用イメージ・模式図です。

テレコンバーターは、レンズとカメラの間で焦点距離を伸ばす

テレコンバーターは「テレコン」と略され、キヤノンでは「エクステンダー」という名前でも呼ばれます。レンズとカメラの間に光学系を追加し、レンズが作る像を拡大してセンサーへ届けます。同じカメラで同じ位置から撮れば、写る範囲が狭くなり、被写体が画面を占める割合が大きくなります。Canon「エクステンダー」

ここで扱うのは、交換レンズの後ろに付けるリア型です。レンズの前へ付けるフロント型のコンバージョンレンズもあり、後述するF値の変化を同じようには当てはめられません。Panasonicの講座でも、両者の装着位置とF値の扱いを区別しています。Panasonic「テレコンバーター、ワイドコンバーター」

交換レンズとカメラ本体の間にテレコンバーターを装着する位置の模式図

*装着位置を示す模式図です。実際の形状と着脱手順は製品の説明書で確認してください。*

カメラのメニューにある「デジタルテレコン」なども、追加の光学系を付ける今回の道具とは分けて考えます。切り出しや拡大処理の仕様は、使用機種の説明書で確認してください。

カメラとレンズの間に入れる道具には接写リングもあります。接写リングは近くのものへピントを合わせるための器具なので、遠くの被写体を大きく撮る目的とは異なります。違いは接写リングの仕組みと使い方で説明しています。

1.4倍と2倍で、焦点距離と開放F値はこう変わる

計算の目安は、焦点距離と開放F値の両方に、テレコンの倍率を掛けることです。開放F値は、そのレンズを最も明るい状態で使うときのF値を指します。

たとえば、対応する200mm F4のレンズを使うと、次のようになります。

比較項目 テレコンなし 1.4倍 2倍
焦点距離 200mm 200×1.4=280mm 200×2=400mm
開放F値 F4 4×1.4=F5.6 4×2=F8
開放時の光量の目安 基準 約1/2 約1/4
減光量 なし 約1段 2段
使い方を考える軸 明るさを確保しやすい 拡大と減光の中間 より大きく写せる分、撮影条件を慎重に確認

光量は、同じ明るさの被写体を同じ時間だけ露光したとき、センサーの単位面積へ届く量の目安です。像を大きく広げるため、1.4倍では約2倍、2倍では4倍の面積に光を配る関係になります。ケンコー・トキナー「Kenkoテレプラス」

F2.8のレンズなら、1.4倍で一般的な表示はF4、2倍でF5.6になります。公称倍率やF値は丸められた値なので、単純な掛け算の小数と、カメラの表示値がぴったり一致しないことがあります。Nikon「Using Teleconverters」

F値の基本はF値と絞りの関係で補足しています。また、この焦点距離の変化と、センサーサイズによる「35mm判換算」は別の計算です。換算値が必要な場合は、テレコン装着後の焦点距離を基にします。焦点距離と画角の違い

暗くなる分を、シャッター速度かISO感度で補う

「2段暗くなる」とは、撮った写真が必ず暗く仕上がるという意味ではありません。自動露出やISOオートが補えば、見た目の明るさは保たれます。そのとき、シャッター速度が遅くなったり、ISO感度が上がったりします。SIGMAの説明書でも、テレコンによる減光と自動露出による調整を案内しています。SIGMA「TC-1401/TC-2001使用説明書」

次は、同じ照明で、200mm F4のレンズを開放、1/1000秒、ISO400で使っていた場合の計算例です。テレコン装着後も開放で撮り、同じ明るさの画像を得ることを考えます。

装着状態 開放F値 1/1000秒を維持する場合 ISO400を維持する場合
なし F4 ISO400 1/1000秒
1.4倍 F5.6 ISO800 1/500秒
2倍 F8 ISO1600 1/250秒

2倍テレコンによる減光をISO1600または1/250秒で補う計算例

*同じ照明で、装着前後とも開放を使った場合の計算例です。*

2倍のときは、光量が1/4になる分、ISO400×4=1600とするか、露光時間を4倍の1/250秒へ延ばす計算です。両方を少しずつ変える選択もあります。実際の値は測光や撮影条件で変わります。

動く鳥やスポーツでは、速度を落とすと被写体がぶれる可能性があります。静止物なら、カメラを安定させて長めに露光する方法も考えられます。ISOを上げる選択では、撮影結果のノイズや細部の残り方を確認します。

テレコン装着前にF8へ絞っていたレンズを、2倍装着後は開放F8で使う、といった場合は比較の前提が変わります。開放F値の変化と、実際に設定しているF値を分けて見ると、必要な調整を判断しやすくなります。

買う前・付ける前に、型番と使用条件を確認する

テレコンの対応は、マウント名だけでは決まりません。同じマウントでも、レンズ側の構造や対応機能が異なります。メーカーの対応一覧と説明書で、レンズ・テレコン・カメラの組合せを確認してください。

確認する項目 調べること 判断できること
レンズとテレコンの型番 公式の対応レンズ一覧に載っているか 装着対象の組合せか
使用できるズーム範囲 広角端から望遠端まで使えるか 計算した全範囲で撮れるか
カメラ本体の条件 必要なファームウェアや機種制限 本体側の準備が必要か
AF・連写などの機能 対応モード、測距範囲、条件付きの制限 撮りたい被写体に使えるか
装着・取り外しの手順 説明書にある順序と禁止される組合せ 安全に取り扱えるか

ズーム全域で使えるとは限らない

具体例として、Canon RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMにRF1.4×/RF2×を使う場合、元レンズの300〜500mmの範囲で使用します。公式仕様では、1.4倍で420〜700mm、2倍で600〜1000mmです。100mmからの全域に倍率を掛けた範囲では使えません。Canon「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM 特長」

これはそのレンズ固有の例です。ほかのレンズの可否や使用範囲は、それぞれの説明書で確認します。

AFが使えるかは、F値だけで決めない

AF(自動でピントを合わせる機能)の条件は、カメラとレンズの組合せで異なります。古い一眼レフ向けの制限を、そのまま現在のミラーレスへ当てはめないようにします。

NikonのZ TELECONVERTER TC-1.4xの公式ページには、対応レンズの一覧と、被写体や周囲の光、フォーカスポイントによって合焦できない場合があるとの注意が載っています。対応一覧への掲載と、暗い場所や動体で期待どおり動作することは、別々に確認する必要があります。Nikon「Z TELECONVERTER TC-1.4x」

装着しても認識されない、異常な抵抗がある、動作が不安定といった場合は、無理に使わず対応条件と取り扱い手順へ戻ります。

トリミングとどちらがよいかは、出力条件をそろえて比べる

遠くの被写体を大きく見せる方法には、撮影後に周囲を切り取るトリミングもあります。テレコンは撮影時に像を光学的に拡大し、トリミングは記録済み画像の一部を使います。

同じ縦横比を保ち、中央を切り取って1.4倍・2倍相当の拡大率にするなら、残る画素数の目安は次の式です。

残る画素数=元の画素数÷拡大率÷拡大率

2400万画素を例にすると、1.4倍相当では2400÷1.4÷1.4≒1224万画素、2倍相当では2400÷2÷2=600万画素になります。縦と横の両方を切り取るため、2倍相当で残る面積は1/4です。補間による画素追加を行わない場合の計算です。

縦横をそれぞれ半分に切り取ると2400万画素から600万画素になる面積図

*画素数と面積の関係を示す模式図です。画質の比較結果ではありません。*

比較項目 光学テレコン 撮影後のトリミング
大きく見せる方法 撮影前に像を拡大する 撮影済み画像の周囲を切り取る
記録画素数 通常、同じ記録設定なら維持 残す面積に応じて減る
明るさ・露出 開放F値と撮影設定への影響がある 切り取る処理自体で撮影時の露出は変わらない
機材の条件 装着互換性と対応機能の確認が必要 新たな光学アクセサリーは不要
仕上がりの確認 光学性能、ブレ、ピント、ノイズを見る 残る細部と必要な出力サイズを見る

テレコンで元の画素数を維持できても、細部が必ずその分だけ鮮明になるとは限りません。光学系の組合せ、撮影時のブレやピント、ISOの変化が結果へ影響します。画素数の多さだけで優劣を決めず、使う大きさにそろえた画像を見ます。

比較するなら、同じ位置から静止した被写体を撮り、テレコンなしの画像を同じ範囲まで切り取ります。両方を同じ出力寸法へそろえ、同じ現像条件で細部とノイズを確認します。切り取り後の画像は小さくなるため、比較では必要に応じて両方を小さい側の寸法へ縮小します。光やシャッター速度、ISOなど、そろえた条件と変わった条件も記録してください。これは手元で比較するための手順で、この記事で実施した測定結果ではありません。

最初の試写で確認したいこと

倍率を決めるときは、必要な大きさに写せるかに加えて、撮影したい条件でピントと動きを捉えられるかを見ます。

  1. 公式の対応表と説明書で、使用できる組合せ・ズーム範囲を確認する。
  2. 装着後の焦点距離と開放F値を計算し、カメラの表示と照合する。
  3. 動かない被写体で試写し、シャッター速度、ISO、ピント、細部の写りを確認する。
  4. 実際に撮りたい被写体でも試し、AFの追従やブレが許容できるかを見る。
  5. テレコンなしのトリミング画像と同じ出力サイズで比べる。

1.4倍で必要な大きさに届き、撮影設定にも余裕があるなら、その組合せが候補になります。2倍が必要な場面では、明るさやAF条件を確認したうえで試写します。暗い場所や速い動きで結果が安定しない場合は、テレコンを外して撮り、必要な範囲だけ切り取る方法も比較してください。

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