動画撮影用NDフィルター3製品比較|可変・固定、濃度とサイズの選び方

屋外動画でNDフィルターを使い光量を調整するイメージ
屋外動画でNDフィルターを使い光量を調整するイメージ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

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屋外で動画を撮ると、背景をぼかすために絞りを開けた途端、画面が明るくなりすぎることがあります。シャッタースピードを速くすれば露出は合わせられても、動きのブレが減り、意図した映像とは違う印象になることも。

そんなときの選択肢が、レンズに入る光を減らすNDフィルター(減光フィルター)です。選ぶ順番は「可変か固定か」だけではありません。必要な減光量を確認し、その範囲をカバーできる製品と、レンズに合う口径を選ぶのが基本です。

この記事ではねじ込み式の3製品を比較します。メーカー公式情報に基づく選び方で、画質や色再現を実測したランキングではありません。仕様の確認日は2026年9月9日です。

最初に、NDが必要な撮影かを確認する

NDなしは白飛び、適切なNDは適正、濃すぎるNDは暗くなる概念図

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

※説明のための概念図であり、実写・実測結果ではありません。

たとえば30p(1秒に30フレーム)の動画では、シャッタースピードを1/60秒付近にすることが、動きのブレを残す目安になります。ただし、必ずこの値にしなければならないわけではありません。動きを鋭く見せたい場合や照明のちらつき対策など、撮影意図と環境で変えます。

1/60秒、狙った絞り、使いたいISO感度を設定しても明るすぎるなら、NDを使う理由があります。反対に、室内や夕方など、その設定で露出が合っている場面では、減光のために買う必要はありません。カメラ内蔵NDで必要な範囲をまかなえる場合も、外付けは必須ではありません。

NDそのものがボケを増やすわけではありません。絞りを開けたまま露出を合わせる余地を作る道具です。シャッタースピードの解説F値の解説も参考にしてください。

基礎資料:Kenko「NDフィルターの選び方」

可変NDと固定NDは、何を優先するかで選ぶ

比較軸 可変ND 固定ND
減光量 決められた範囲で回して調整する ND32、ND64など1枚ごとに一定
明るさが変わる場面 フィルター交換を減らせる 濃度を変えるなら交換などが必要
減光量の再現 リング位置と映像を確認する 同じ1枚なら公称濃度が一定
注意点 濃度や画角によってX状のムラなどを確認する 濃すぎると暗い場面で使いにくい
向く運用 移動しながら露出を細かく調整 光の条件が安定し、必要濃度を決められる

「可変なら画質が悪い」「固定なら色が変わらない」と一括りにはできません。コーティング、光の入射角、レンズ、濃度なども関係します。本記事では未測定の画質優劣ではなく、調整範囲と使い方を比べます。

ND32は5段、ND64は6段。必要濃度を計算する

1段ごとに透過光量が半分になる概念図

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

※説明のための概念図であり、実写・実測結果ではありません。

減光の1段(1ストップ)は光量が半分になる変化です。NDの後ろの数字は減光の倍率で、ND64は「64段」ではなく、光量を1/64にする6段分です。

表示 減光段数 透過する光量の目安
ND2 1段 1/2=50%
ND4 2段 1/4=25%
ND8 3段 1/8=12.5%
ND16 4段 1/16=6.25%
ND32 5段 1/32=3.125%
ND64 6段 1/64=約1.56%
ND128 7段 1/128=約0.78%

1/2000秒で適正な場面を、1/60秒で撮るなら

1/2000秒から1/60秒へ変えるときの減光量計算

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

※説明のための概念図であり、実写・実測結果ではありません。

同じ被写体・照明で、ISO感度と絞りを変えない計算例です。NDなしでは1/2000秒で露出が合い、動画では1/60秒にしたいと仮定します。

必要なND倍率=目標の露光時間÷元の適正な露光時間

(1/60)÷(1/2000)=2000÷60≒33.3倍

必要な減光量は約5.06段なので、ND32の5段に近い条件です。厳密にはND32だと約0.06段明るくなるため、最後はカメラの露出表示や映像を見て微調整します。

ではND64を使うとどうなるでしょうか。透過する光がさらに半分になり、同じ設定では適正より約0.94段暗くなります。濃い方が常に正解ではなく、ISOや絞りを調整するか、別の濃度を選ぶ必要があります。

1/8000秒が必要な場面では、5段の可変NDだけでは足りない

同じ計算で、NDなしの適正値が1/8000秒なら、8000÷60≒133.3倍。約7.06段が必要です。ND2〜32の可変NDを最大まで回しても5段なので、約2段不足します。

これは日なたで必ず7段必要という意味ではありません。光の強さに加え、ISO感度と絞りが変われば必要量も変わります。撮影モードによって使えるISO範囲が異なる点も含め、自分が使う設定で確認してください。

「屋外だからND32」と決めず、使いたい設定で何段明るすぎるかを確認する。 この確認で、購入するNDの範囲が決まります。

3製品を比較する

比較対象は77mmの単品に揃えます。77mmは共用方法を説明するための例で、すべてのレンズへ直接付けられるサイズではありません。口径が違う場合の対応は後半で説明します。

製品 方式・減光量 向く用途 購入前に確認したい制約
NiSi TRUE COLOR ND VARIO 1-5stops 77mm 可変、ND2〜32・1〜5段 この範囲で細かく調整したい 単体では5段を超えられない
Kenko バリアブルND Initial 77mm 可変、ND3〜450相当。ただし上限に焦点距離条件あり 濃度の選択幅を持たせたい 広角で最大濃度まで使えるとは限らない
Kenko PRO1D Lotus ND64 77mm 固定、ND64・6段 6段を基準に撮影できる 薄くする調整はできない

価格や在庫は変わるため、固定価格での順位は付けません。購入時は製品名だけでなく、77mm、単品、濃度、パッケージの世代まで照合してください。

NiSi TRUE COLOR ND VARIO 1-5stops 77mm:1〜5段を細かく調整したい人へ

1〜5段で調整する可変NDの製品イメージ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

NiSi TRUE COLOR ND VARIO 1-5stops 77mm

必要な減光量が1〜5段に収まるなら、リングを回して露出を合わせる運用に向きます。メーカーは可動域を制限するストッパーと、色かぶり・X状のムラへの対策を説明しています。ここで扱うのはねじ込み式の単品で、JetMag版や追加フィルター付きキットとは分けます。

注意したいのは上限です。先ほどの約7段必要な例では、この1枚だけでは足りません。メーカーの画質に関する説明は選定材料になりますが、すべてのレンズや光源で色の変化がないと本記事が保証するものではありません。

仕様出典:NiSi公式製品情報

Kenko バリアブルND Initial 77mm:濃度の選択幅を持たせたい人へ

広角で最大濃度に注意する可変NDの製品イメージ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

Kenko バリアブルND Initial 77mm

ND3〜450相当を掲げる可変式です。ただし、公式店はND450相当まで使える条件を焦点距離70mm以上とし、焦点距離が短いほど最大付近でX状のムラが出やすいと説明しています。

「ND450まで対応」を、超広角でも全域を使える保証と読まないことが大切です。

リンク先はNなしの旧版表記に合わせています。77mm型のJANは4961607014356で、メーカーでは生産終了と案内されています。N付きはパッケージ変更版ですが、購入時は販売ページの型番を確認してください。前面キャップは82mmなので、レンズ側の77mmと混同しないようにしましょう。

また、メーカーは24mm以下の焦点距離を目安にケラレが出る場合があるとしています。広角動画では、濃度上限だけでなく枠の写り込みにも注意が必要です。

仕様出典:Kenko旧版の公式製品情報パッケージ変更版の公式情報公式店の77mm型・濃度上限の注意

Kenko PRO1D Lotus ND64 77mm:6段固定で撮影したい人へ

光量を1/64にする固定NDの製品イメージ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

Kenko PRO1D Lotus ND64 77mm

2026年9月9日に確認した77mmの販売画面では、在庫切れ・再入荷予定なしの表示でした。すぐ購入できる製品としての推奨ではなく、固定6段の比較候補です。現在の在庫と選択サイズは商品ページで確認してください。

6段分の減光を一定に保つ固定NDです。77mm型はKenko PRO1D Lotus ND64 77mm、JANは4961607137727。メーカーは薄枠設計と撥水・撥油コーティングを案内しています。

光の条件が安定していて、6段を基準に露出を組めるなら候補になります。一方、日なたから暗い室内へ移るような撮影では、リング操作で薄くできません。取り外しや別濃度への交換が必要です。

固定だから色やフレアの確認が不要という意味ではありません。また、可変NDに重ねればすべて解決するとも限らず、枠の厚みや反射、メーカーの組み合わせ条件を確認します。

仕様出典:Kenko公式製品情報

サイズはカメラ名ではなく、レンズのフィルター径で選ぶ

58mmレンズから77mmNDへのステップアップリング装着図

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

※説明のための概念図であり、実写・実測結果ではありません。

同じカメラでも、レンズを替えるとフィルター径が変わります。「焦点距離14mmだから14mmのフィルター」ではありません。レンズの仕様欄にあるフィルター径、または径を示す「φ」「Ø」の表示を確認します。

動画向け広角レンズの比較記事で紹介した5本の口径は次のとおりです。ND製品の画質や無ケラレを保証する組み合わせ表ではありません。

レンズ フィルター径 77mmのNDを使う場合の口径変換例
Canon RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ 58mm レンズ側58mm→フィルター側77mm
Sony E PZ 10-20mm F4 G 62mm 62mm→77mm
Nikon NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR 67mm 67mm→77mm
FUJIFILM XF10-24mmF4 R OIS WR 72mm 72mm→77mm
Panasonic LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH. 55mm 55mm→77mm

口径を大きくするステップアップリング(レンズとフィルターの径をつなぐアダプター)を使う考え方です。たとえば58mmレンズなら「58→77mm」の向きを確認します。逆向きのステップダウンリングとは別物です。ここでの変換例は口径の対応を示したもので、個別リングとレンズ・NDの組み合わせを実機確認した結果ではありません。

選び方 利点 トレードオフ
レンズと同径のND 小型にまとめやすく、変換リングが不要 異なる径のレンズと共用しにくい
大きいNDと変換リング 複数径のレンズで共用を検討できる 外径が大きくなり、フード・キャップへの干渉確認が必要

リングの段重ねは厚みを増やします。口径を大きくしてもケラレが絶対に出ないわけではありません。ケラレとはフィルター枠などが光を遮り、画面の隅が暗くなることです。広角端と実際の動画記録範囲で試し撮りしてください。

口径の出典:Canon仕様Sony仕様Nikon仕様FUJIFILM公式仕様Panasonic仕様

クロスムラ、ケラレ、色かぶりを切り分ける

X状のムラと四隅のケラレと色かぶりを区別する概念図

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

※説明のための概念図であり、実写・実測結果ではありません。

見える問題 確認の手がかり 対応の方向
X状に暗い模様が出る 可変NDを濃くすると変わるか 濃度を戻す。使用可能範囲を確認する
画面の隅に黒い影が出る 広角端や重ね付けで変わるか 枠・リング・フードの干渉を確認する
全体の色が変わる 同じ光源・固定ホワイトバランスで比較する 濃度や製品を見直し、必要に応じ色を調整する

比較するときは、カメラの自動補正が変化を隠していないかも確認します。明るさの説明ならISO・絞り・シャッターを固定し、色の比較なら露出差も補正して同じホワイトバランスで見比べます。NDの有無だけで自動設定が変わった映像を、製品の性能差とは扱いません。

購入前・撮影前に確認すること

  1. 実際に使う撮影モード、シャッター、絞り、ISOで必要な減光量を見積もる。
  2. その濃度を使える製品か、特に可変式の上限条件を確認する。
  3. レンズ側の口径と、必要なら変換リングの向きを確認する。
  4. 装着後は広角端で、濃度を変えながら画面の隅、X状のムラ、色を確認する。
  5. 暗い場所へ移ったらNDを外す判断もする。

この3製品は太陽観察・太陽撮影用の安全フィルターではありません。その用途には使用しないでください。

撮影条件が1〜5段で収まるのか、もっと強い減光が必要なのか。それを決めてから可変・固定を選び、最後に装着方法を確認すれば、使えない濃度や合わないサイズを買う失敗を減らせます。

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