RyzenとIntelを比較|ローカルLLM用自作PCのCPU選びとRyzenの歩み

Ryzen 5 9600Xの用途を表す生成イメージ:GPUの容量を先に確保したい人へ

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ローカルLLM(手元のPCで動かす大規模言語モデル)用の自作PCでは、Ryzen 5 9600X・Ryzen 7 9700X・Core Ultra 5 250K Plusを、GPU中心で使う場合の比較候補にできます。 CPUにも推論や重い開発処理を任せるなら、コア数とメモリ構成を含めて候補を広げましょう。 この記事では用途別の選び方を示したうえで、Ryzenが注目されるようになった歴史と両社の製品を比較します。

CPUはPC全体の汎用処理を、GPUは画像処理や大量の並列計算を担うプロセッサーです。この記事は、主に単体のグラフィックボードを組み合わせるデスクトップ自作PCを扱い、CPUだけで推論する場合の確認事項も補足します。仕様は2026年9月28日に公式資料で確認しました。公式仕様とソフトの対応に基づく選定案で、実機の速度比較は行っていません。

RyzenとIntel、ローカルLLM用ならどう選ぶ?

最初に決めたいのは「どの処理をCPUに任せるか」です。メインメモリを表すRAM、数値を少ないビット数で表す量子化という用語も、構成を比べる際に使います。次の候補から、用途に合う見積もりを作ってみてください。

主な使い方 検討するCPU 選ぶ理由 上位CPUを買う前に確認したいこと
単体GPUでLLMを動かし、ブラウザやエディタも使う Ryzen 5 9600X、Ryzen 7 9700X、Core Ultra 5 250K Plus GPUに予算を残しながら、CPU側の作業量に合わせて選べる候補 モデルがGPUメモリに収まるか。CPUを上げるために必要なGPU容量を削っていないか
LLMを使いながら、コンパイルや複数の開発環境も動かす Ryzen 9 9950X、Core Ultra 7 270K Plus 並列に処理できる作業が多い場合の比較候補 普段の処理が多数のコアを使うか。冷却費とメモリ容量も確保できるか
CPUとメインメモリにもモデルを載せる 上の候補を、RAM構成と同条件のLLM測定で絞る CPUの演算だけでなく、メモリからデータを供給する条件も重要になる コア数だけで決めず、モデル・量子化・メモリ構成をそろえた結果を探す

これは性能順のランキングではありません。例えば、GPUに載るモデルを一人で使う構成と、CPUで大きなモデルを動かす構成では、お金をかける場所が変わります。

CPU予算の基準を一つ置きたいなら、Ryzen 7 9700XをAMD側、Core Ultra 5 250K PlusをIntel側の比較候補にして、マザーボードと冷却を含む総額を並べると検討を進めやすいです。CPUで重い並列処理をしないならRyzen 5 9600Xも比較し、逆に開発処理が多いなら上位へ広げます。

各製品の仕様と、候補にする理由・弱点は後半の表で整理します。

CPUの重要度は、モデルをどこで動かすかで変わる

ローカルLLMでは、モデルの計算をCPUとGPUのどちらへ割り当てるかによって、必要な構成が変わります。GPU中心で動かす場合も、CPUはOSやアプリ、推論に伴う周辺処理を担います。

推論ソフトのllama.cppは、CPU・GPUだけでなく、両方を使う推論にも対応しています。GPUのVRAM(GPUが使う専用メモリ)に収まりきらないモデルを扱う手段もありますが、動かせることと、欲しい速度で使えることは別に確認する必要があります。

モデルの主な配置 構成で注目する部分 CPU選びへの影響
GPUのVRAMに載せる GPUの対応ソフト、VRAM容量、処理性能 CPUはアプリや周辺処理も含めて選ぶ。CPUだけを上位へ替えても、GPU側の容量不足は解決しない
GPUとメインRAMへ分ける CPU・GPU両方の処理、RAM容量・帯域、分担する量 CPU側の処理も待ち時間に関わるため、使うモデルと分担条件に近い測定が必要
メインRAMへ載せ、CPUで処理する CPUの対応命令、RAM容量・帯域、ソフトの実装 多コアというだけで決めず、入力処理と文章生成を分けて比較する

すでにOllamaを使っているなら、モデルの起動中にollama psを確認すると、配置を把握できます。公式FAQでは、PROCESSOR列の100% GPU、100% CPU、CPU/GPUの混在表示を説明しています。これはモデルの配置を示す表示なので、100% GPUを「CPU使用率がゼロ」という意味には読まないでください。Ollama FAQ

GPUの型番やVRAM容量から検討したい場合は、ローカルLLM向けGPU・VRAMの比較を先に見ると、CPUへ回せる予算を決めやすくなります。

IntelとRyzenの歴史――なぜ選択肢が変わったのか

「昔はIntelを選んでおけばよかったのに、今はRyzenもよく見かける」。久しぶりに自作するなら、この変化が気になるかもしれません。

ただ、CPUの歴史を「ずっとIntelだけが先行し、突然Ryzenが現れた」と捉えると、少し話が抜け落ちます。AMDはRyzen以前にもAthlon 64などを投入しており、世代ごとに競争の焦点が変わってきました。

時期 主な出来事 今のCPU選びにつながる見方
2003年 AMDがAthlon 64を投入 AMDはRyzen以前から、PC向けCPUの設計で競争していた
2006年 IntelがCore 2 Duoを発表 ブランド名だけでなく、内部設計の世代が製品の特徴を変える
2017年 AMDがZen設計の初代Ryzen 7を発売。8コア16スレッドを展開 多くの処理を並行して動かしたい人に、比較する選択肢が増えた
2019年 第3世代RyzenがZen 2とチップレット設計を採用。Ryzen 9 3900Xは12コア24スレッド 小さなチップを組み合わせる設計と、一般向けCPUの多コア化が進んだ

出典:AMDの2003年事業報告、Intel Core 2 Duo発表、AMD Ryzen 7発売発表、AMD Computex 2019発表

チップレットは、一つの製品を複数の小さな半導体チップで構成する方式です。第3世代Ryzenではこの設計が採用され、多コア製品が選択肢に加わりました。もっとも、チップレットなら常に速い、コアが多ければすべての作業が速い、という意味ではありません。

人気を見るときは、自作向けのCPU単体販売と、完成品PC全体を分けることも大切です。BCNは2019年、参加する家電量販店・ECショップのCPU単体販売でAMDがIntelを上回った一方、完成品PCではIntelの比率が高いと報じています。同じ時期でも、見ている市場によって印象は変わります。BCN:AMDがCPUでインテルを大逆転

この調査で分かるのは、当時の国内の対象店舗における販売傾向です。現在の世界市場全体まで広げず、自作向けの評判を読むための背景として捉えましょう。

Ryzenが支持される理由を、AI用途に照らして考える

ここでは、確認できる製品上の魅力を三つに整理します。購入者全員の動機を調査した説明ではなく、CPUを選ぶ立場からの見方です。

多コアの選択肢を比較しやすくなった

初代Ryzen 7の8コア16スレッド、第3世代Ryzen 9の12コア24スレッドという展開には、複数の処理を並行させたい人が注目する理由があります。現在の候補でも、Ryzen 9 9950Xは16コア32スレッドです。AMD Ryzen 9 9950X仕様

ローカルLLMの利用でも、推論と同時にコンパイルや複数の開発環境を動かすなら、この方向性は検討に値します。一方、GPU中心の推論だけを目的に、多コアCPUへ予算を寄せる理由は慎重に考えたいところです。

マザーボードを使い続ける選択肢がある

AMDは2026年5月、AM5(CPUを取り付けるソケットの規格)を2029年までサポートする方針を発表しました。将来CPUを交換して使い続けたい人には、比較材料になります。AMD:AM5サポート方針

ただし、この方針は、買ったマザーボードで将来のすべてのCPUが動くという保証ではありません。交換時には、ボードメーカーの対応CPU一覧、必要なBIOS(起動や機器制御を担うファームウェア)、電源回路や冷却の条件を確認します。

X3Dの大容量キャッシュという選択肢がある

RyzenのX3D製品は、3D V-Cacheという積層技術で大容量キャッシュを搭載する点も特徴です。例えばRyzen 7 9800X3DのL3キャッシュは96MBです。AMD Ryzen 7 9800X3D仕様

ゲームも重視するなら検討したい製品ですが、ゲームでの評判をそのままLLMの生成速度へ置き換えることはできません。キャッシュが有効かどうかは、実行する処理とソフトの実装によります。生成AIのためにX3Dへ追加予算を使うなら、同じモデル・設定での測定結果を確認する、という順番がおすすめです。

候補CPUを公式仕様と用途で比較する

ここからは、比較の出発点になる5製品を並べます。市場の全製品を網羅した表ではなく、GPU中心と開発兼用の違いを考えるための候補です。

CPU コア/スレッド 公式の電力指標 ソケット 候補にする用途 気を付けたい条件
Ryzen 5 9600X 6/12 標準TDP 65W AM5 CPU側の並列作業を絞り、GPU予算を確保する構成 重い開発処理を同時に走らせるなら、上位CPUと比較したい
Ryzen 7 9700X 8/16 標準TDP 65W AM5 GPU推論と普段の開発を兼ねる構成の比較基準 8コアで足りるかは作業次第。CPU単独推論の最速を保証する仕様ではない
Ryzen 9 9950X 16/32 標準TDP 170W AM5 CPUで並列処理する開発・制作も重視 冷却費を含めて検討。GPU中心の利用では追加投資の効果を見極める
Core Ultra 5 250K Plus 18/18、6P+12E PBP 125W/MTP 159W LGA1851 GPU推論と並行作業を兼ねるIntel側の候補 異なる種類のコアを含むため、18コアという数だけでRyzenより速いとは判断できない
Core Ultra 7 270K Plus 24/24、8P+16E PBP 125W/MTP 250W LGA1851 多数のCPU処理や対応ソフトの機能も使いたい構成 長時間負荷の冷却・電力設定を確認。コア数とLLM生成速度は比例しない

出典:AMD 9600X、AMD 9700X、AMD 9950X、Intel 250K Plus、Intel 270K Plus

IntelのPコアは高性能を、Eコアは効率を重視したコアです。コア構成が異なる製品を比べるときは、合計数だけでなく、実際に使うソフトの測定を見る必要があります。

また、TDPは冷却設計に関わる指標、PBPはProcessor Base Power、MTPはMaximum Turbo PowerというIntelの電力指標です。表の65Wと125Wをそのまま比べて、PCの消費電力や電気代が約2倍違うとは計算できません。 実際の負荷、電力設定、マザーボード、冷却条件をそろえて確認します。

AVX-512対応だけで、CPU推論の勝者は決まらない

AVX-512は、複数の数値をまとめて処理するためのCPU命令群です。Ryzen 7 9700Xの公式仕様にはAVX512、Core Ultra 7 270K PlusにはAVX2が記載されています。llama.cppも複数の命令経路に対応していますが、どの処理でどの命令を使うかは、ソフトの版やビルド、モデル形式で変わります。AMD 9700X仕様、Intel 270K Plus仕様、llama.cpp

CPU単独でLLMを使う予定なら、対応命令は確認項目の一つです。ただし、「命令の数字が大きいから速さも倍」という比較には使えません。

Intelの機能は、使うソフトとセットで評価する

Core Ultra 7 270K PlusにはQuick Sync Video(動画処理を支援する機能)やNPU(AI処理向けの演算装置)も搭載されています。動画編集を兼ねるなら、使用ソフトがどの処理を支援できるかを確認する価値があります。Intel 270K Plus仕様

一方で、NPUが付いているだけで、手元のLLMを自動的に高速化できるわけではありません。実行ソフト、対応モデル、利用できる演算経路を確認します。「AI向け」と書かれているかよりも、自分のアプリで使える機能かを見てください。

製品ごとの選びどころ

ここでは、比較表の5製品とゲーム兼用の補足候補を順に紹介します。画像は用途を表すイメージで、実物の外観や同梱品を示すものではありません。購入時はリンク先で販売元、保証、付属品を確認してください。

Ryzen 5 9600X:GPUの容量を先に確保したい人へ

Ryzen 5 9600Xの用途を表す生成イメージ:GPUの容量を先に確保したい人へ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

6コア12スレッドのRyzen 5 9600Xは、LLMの主な計算をGPUへ任せ、CPUではブラウザやエディタを使う構成から検討したい候補です。上位CPUとの差額は、必要なVRAMやRAMの確保と比べて判断しましょう。

コンパイルや複数の開発環境を頻繁に同時実行するなら、8コア以上の候補も比較してください。CPU単体の安さだけで決めず、AM5対応マザーボードと冷却を含む総額で選びます。

Ryzen 7 9700X:GPU推論と普段の開発を兼ねる人へ

Ryzen 7 9700Xの用途を表す生成イメージ:GPU推論と普段の開発を兼ねる人へ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

Ryzen 7 9700Xは8コア16スレッドで、GPU推論と日常的な開発を兼ねる構成の比較基準にできます。使うアプリと必要なRAM容量を決め、このCPUを軸に構成全体の見積もりを作ると、上下の候補との差額を考えやすくなります。

CPUだけで大きなモデルを動かす目的なら、コア数に加えてメモリ帯域と実測結果を確認しましょう。開発処理が多数のコアを使い続ける場合も、上位CPUへの追加費用を検討する余地があります。

Ryzen 9 9950X:並列処理の多い開発・制作を兼ねる人へ

Ryzen 9 9950Xの用途を表す生成イメージ:並列処理の多い開発・制作を兼ねる人へ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

16コア32スレッドのRyzen 9 9950Xは、LLMの利用に加えて、CPUを使う開発・制作処理が多い人向けの比較候補です。普段のコンパイルや制作ソフトが多数のコアを利用できるかを確認してから選びましょう。

標準TDPは170Wなので、冷却装置とケース内の排熱も見積もりに含めます。GPUに収まるモデルを一人で使う用途が中心なら、このCPUへの追加投資とGPU・RAMの増強を並べて検討してください。

Core Ultra 5 250K Plus:Intel構成でGPU推論と並行作業をしたい人へ

Core Ultra 5 250K Plusの用途を表す生成イメージ:Intel構成でGPU推論と並行作業をしたい人へ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

Core Ultra 5 250K Plusは、6個のPコアと12個のEコアを備える比較候補です。GPU推論と並行してアプリを使う構成では、LGA1851対応マザーボードや冷却を含めた費用を、AMD側の候補と比べてみてください。

PコアとEコアは性格が異なるため、合計18コアという数字だけでRyzenより速いとは判断できません。使うソフトの対応と測定条件を確認し、コア数ではなく自分の作業にかかる時間を比較するのが大切です。

Core Ultra 7 270K Plus:CPUの並列作業や動画編集も重視する人へ

Core Ultra 7 270K Plusの用途を表す生成イメージ:CPUの並列作業や動画編集も重視する人へ

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

Core Ultra 7 270K Plusは8個のPコアと16個のEコアを備え、CPUの並列作業が多い構成で検討する候補です。動画編集も行うなら、使用ソフトでQuick Sync Videoを利用できるかも比較材料になります。

MTPは250Wなので、長時間の負荷を想定した冷却と電力設定を確認しましょう。NPUを搭載していても、利用するLLMが自動で高速化されるわけではありません。購入前に実行ソフトとモデルの対応を確かめてください。

Ryzen 7 9800X3D:ゲームも重視する兼用PCの候補

Ryzen 7 9800X3Dの用途を表す生成イメージ:ゲームも重視する兼用PCの候補

※画像は生成AIを用いた独自生成イメージです。

Ryzen 7 9800X3Dは、ゲームも楽しむPCを組む場合の補足候補です。96MBのL3キャッシュを備えますが、ローカルLLMへの効果はモデルとソフトの処理によって変わります。

生成AIを主目的に選ぶなら、X3Dに追加予算を使う前に、必要なVRAMとRAMを確保できるか確認しましょう。ゲームとLLMそれぞれの測定を分けて見て、自分がよく使う用途に見合う費用かを判断してください。

DDR5は容量・枚数・対応速度をセットで選ぶ

増設するDRAMと、CPU内のSRAMを分ける

PCショップで選ぶDDR5メモリは、DRAMを使うメインメモリです。一方、SRAMはCPUのキャッシュなどに使われる種類のメモリで、一般的な自作PCでDDR5のように容量を選んで増設するものではありません。Kingstonのメモリ用語集、IBMのメモリ種類の解説

そのため、「X3Dはキャッシュが大きいから、RAMを少なくできる」という考え方にはなりません。CPUに内蔵されたキャッシュと、モデルやアプリを載せるメインRAMでは役割が異なります。GPUのVRAMも含めた違いは、CPU・GPUとユニファイドメモリの解説で詳しく扱っています。

容量は64GBを比較の出発点にし、用途で上下させる

これから開発兼用PCを組むなら、筆者ならまず32GB×2枚の64GB構成で見積もりを作ります。これはLLMの最低要件ではなく、同時に動かすアプリも含めて検討するための出発点です。

RAM構成の例 検討する場面 注意点
16GB×2=32GB モデルをGPU中心で動かし、同時アプリが少ない モデル読み込みや開発作業を含む使用量を確認する
32GB×2=64GB ローカルLLMと開発環境を兼用する どんなモデルにも十分という容量ではない
48GB×2=96GB、64GB×2=128GB CPU側へ大きなモデルを載せる、複数の環境を動かす CPU・マザーボード・BIOSが、その容量とメモリ製品に対応するか確認する

必要容量は、モデルの大きさに加えて、量子化、入力の長さ、同時処理数で変わります。容量を増やすと載せられるモデルや同時アプリの余地は広がりますが、生成速度は演算性能やメモリ帯域も含めて決まります。

4枚に増やしても、4チャネルにはならない

例えばRyzen 7 9700XとCore Ultra 7 270K Plusのメモリチャネル数は、どちらも2です。メモリを4枚挿すことと、CPUが4チャネルでアクセスできることは別です。AMD 9700X仕様、Intel 270K Plus仕様

Ryzen 7 9700Xの公式仕様では、2枚構成の最大速度はDDR5-5600、4枚構成はDDR5-3600と分かれています。最初から必要容量の2枚組を選ぶ案と、後から4枚へ増やす案では、速度条件も含めて比較しましょう。具体的な挿す位置はマザーボードのマニュアルに従います。

なお、DDR5の1枚のモジュール内部にあるサブチャネルと、CPUの対応チャネル数は異なる区分です。「DDR5だから1枚で2枚組と同じ帯域」とも判断しないでください。Kingston:Sub-channel・UDIMMの説明

メモリの速度表記は、実際の生成速度ではない

Core Ultra 200S Plusは最大DDR5-7200に対応します。ただし、最大値は使用するメモリや構成条件も確認する必要があります。Intel Core Ultra 200S Plus発表

速度表記の意味をつかむため、64bit幅を2チャネル使う場合の理論帯域を計算してみます。64bitは8byteなので、転送速度と幅を掛けます。

仮定する転送速度 理論帯域の計算 結果
5600MT/s 5600×8byte×2チャネル÷1000 89.6GB/s
7200MT/s 7200×8byte×2チャネル÷1000 115.2GB/s

MT/sは1秒当たりの転送回数を百万単位で表したものです。上の表は実測値ではなく、両チャネルを使うと仮定した算術例です。実効帯域にはメモリの待ち時間やアクセス方法などが関わり、LLMには演算処理もあります。したがって、この比率からCPU間の生成速度を計算することはできません。

EXPOやXMPは、オーバークロック向けの速度・タイミング・電圧などをまとめたメモリ設定です。CPUの標準対応値と分けて考え、容量、枚数、マザーボードのQVL(動作確認済み部品の一覧)を先に確認しましょう。そのうえで、使う構成に対応した速度設定を選びます。Kingstonのメモリ用語集

CPU単体の価格より、構成全体で見積もる

RyzenとIntelは対応するソケットが異なるため、CPU単体の値段だけでは購入費を比べられません。必要なRAM容量とGPUをそろえたうえで、次の項目を並べると判断しやすくなります。

比較項目 AMD側・Intel側の両方でそろえる条件
CPUとマザーボード 候補CPUへの対応、必要な端子・拡張スロット、BIOS更新条件
メモリ 同じ総容量、枚数、動作確認条件。速度表記だけをそろえない
冷却 ケースに収まり、想定する連続負荷を扱えること
GPU・SSDとの接続 使用するスロットの組み合わせによるPCIeレーン分配。PCIeは拡張機器を接続する規格
将来の交換 ソケットの方針に加え、個別ボードのCPU対応表を確認できること

例えば、安いCPUを選んでも、必要な端子を備えたマザーボードや冷却装置が高ければ、構成全体では逆転します。AM5を長く使う方針に価値を感じるか、Intelの対応ソフトや構成費を重視するかも、ここで比べます。

CPUのグレードを上げるか迷ったら、「その差額でRAMの不足を解消できないか」「必要なVRAM容量を確保できないか」を一度確認してみてください。モデルの配置と実際の作業量から見積もると、使わない性能へ予算を寄せにくくなります。

購入前に確認したいこと

最後は、次の四つが決まっていれば、候補をかなり絞れます。

  1. 動かすモデルと配置:GPUに収めるのか、CPUとRAMも使うのか。
  2. CPUで並行する作業:普段のアプリだけか、コンパイルや複数環境も動かすのか。
  3. メモリと互換性:必要容量、枚数、ボードの対応CPU・BIOS・QVL。
  4. 同じ条件での総額と測定:CPU単体価格やゲーム順位だけで決めていないか。

CPU推論の測定を見るなら、モデル名、量子化、入力条件、ソフトの版、RAM構成、GPUへの分担量を確認します。llama-benchも入力処理を表すppと文章生成を表すtgを分けているので、どちらの速さなのかを見てください。なお、このツールの測定にはトークン化やサンプリングの時間は含まれません。llama-bench公式説明

GPU中心なら、Ryzen 5 9600X・Ryzen 7 9700X・Core Ultra 5 250K Plusから構成総額を比較する。開発の並列処理も重いなら、Ryzen 9 9950X・Core Ultra 7 270K Plusへ候補を広げる。CPU単独推論を重視するなら、購入前に同条件のLLM測定まで確かめる。この順番なら、Ryzenの評判やIntelへの慣れを参考にしながら、自分の使い方に合うCPUを選べます。

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